産休手当、いくらもらえる?計算式と申請のステップまとめ
妊娠や出産は、女性にとって人生の中でも大きな節目のひとつです。しかし、その喜ばしい出来事の裏には、経済的な不安や、手続きの煩雑さに戸惑う方も多いのではないでしょうか。
特に働く女性にとって、産休に入ることでお給料がどうなるのか、どのくらいの手当がもらえるのかは、とても重要な問題です。産休手当は、そんな不安を和らげるために設けられた制度ですが、申請にはいくつかの条件や手続きが必要です。
この記事では、産休手当の基礎知識から、計算方法、申請の具体的な流れまで詳しく解説します。安心して産休を迎えるために、ぜひ参考にしてください。
>育児に関する悩みを相談できるカウンセラーはこちら産休手当とは

まず、産休手当とは一体どんな制度なのかを整理しておきましょう。一般に「産休手当」と呼ばれているものには、主に二つの制度が関わっています。一つは「出産手当金」、もう一つは「出産育児一時金」です。
出産手当金は、健康保険から支給される給付金で、産前産後休業中に給与が支払われない場合に、所得補償として支給されるものです。もう一方の出産育児一時金は、出産にかかる費用を補助するためのもので、これも健康保険から支給されます。この記事では特に、収入面の支えとなる「出産手当金」について詳しくご紹介していきます。
産休手当を受け取るための条件
出産手当金を受け取るにはどのような条件があるのでしょうか。主なポイントは以下の通りです。
まず、健康保険の被保険者であることが必要です。被扶養者ではなく、保険料を自分で支払っていることが前提になります。例えばパートや契約社員でも、一定の条件を満たしていれば被保険者となり、出産手当金を受け取ることができます。条件とは、週20時間以上働いていること、月収が88,000円以上であること、雇用契約期間が2か月以上見込まれることなどです。
また、支給を受けるには、出産のために会社を休業し、その間に給料が支払われないことが条件です。もし給与の一部が支払われる場合は、その額が手当から差し引かれることになります。
さらに、妊娠や出産を証明するための書類も必要です。これは母子健康手帳のコピーや、医師の診断書、出産予定日証明書などです。これらの書類がないと申請ができませんので、妊娠が分かったら早めに準備しておきましょう。
産休手当の支給対象期間
出産手当金が支給される期間は法律で明確に決まっています。産前休業は出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)から取得できます。そして産後休業は出産日の翌日から8週間です。つまり、通常は合計14週間(98日間)が対象となります。
例えば、出産予定日が7月1日の場合、5月20日から産前休業が始まり、出産後8週間の8月26日までが産休手当の支給期間となります。ただし、出産日が予定日より早まった場合でも、支給期間は実際の出産日に基づいて調整されます。予定日より遅れて出産した場合は、産前休業が延長され、その分も支給対象になります。
産休手当の計算方法
では、産休手当がいくらもらえるのか、具体的な計算方法を見てみましょう。出産手当金は、休業開始時の標準報酬日額の3分の2が1日あたり支給されます。標準報酬日額とは、過去12か月間の給与総額を12で割った金額(標準報酬月額)を30で割ったものです。
例えば、直近12か月の月給が30万円だった場合、標準報酬月額は30万円です。これを30で割ると標準報酬日額は1万円となり、その3分の2が出産手当金の1日あたりの支給額です。つまり6,666円が支給されます。
支給総額は、この日額に支給対象日数をかけて計算します。産前42日、産後56日で合計98日間の場合、6,666円×98日=約653,268円が支給額の目安となります。もちろん、実際には細かい調整が入ることもありますが、大まかにはこのように計算します。
また、高所得者には上限額が設けられており、標準報酬日額が高い場合でも一定額以上は支給されません。このため、給与の高い方は、上限を確認しておくことをおすすめします。
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産休手当の申請手続き
産休手当を受け取るための、一般的な流れを確認しておきましょう。
必要書類の準備
申請に必要な書類は、主に以下のものです。
- 出産予定日証明書(または母子健康手帳のコピー)
- 賃金証明書(会社に作成を依頼)
- 振込先口座の通帳コピー
- 印鑑(認印で可)
これらを揃えたうえで、会社の人事担当者に提出するのが一般的です。会社を通して健康保険組合や協会けんぽに申請するケースがほとんどです。
申請書の記入方法
申請書は健康保険組合や協会けんぽの窓口、またはウェブサイトからダウンロードできます。記入する際は、黒のボールペンを使い、修正液は使わずに訂正は二重線と訂正印で行いましょう。記入漏れがあると手続きが遅れる原因になりますので、慎重に書類を完成させてください。
提出先と提出期限
申請書の提出先は、加入している保険により異なります。協会けんぽに加入している場合は年金事務所、健康保険組合の場合は各組合が窓口となります。郵送で提出する場合は、追跡可能な簡易書留などを利用すると安心です。
提出期限は出産後でも可能ですが、出産予定日から2年を過ぎると時効となり、手当を受け取れなくなる恐れがあります。遅れないよう、出産後なるべく早く手続きを進めましょう。
産休手当と出産育児一時金の違い
混同されやすいのが「出産育児一時金」です。こちらは出産にかかる費用を補助するもので、一児につき原則42万円(産科医療補償制度加入機関で出産した場合)支給されます。出産費用が一時金を超える場合は差額を自己負担する必要がありますが、多くの場合は一時金でカバーできるケースが多いです。
出産育児一時金も健康保険から支給されますが、産休手当とは別の制度です。産休手当が「収入の補償」であるのに対し、一時金は「出産費用の補助」という違いがあります。
産休後の復職に向けて
産休手当の話をする際、忘れてはいけないのが復職の準備です。産後8週間を過ぎると、医師の許可があれば職場復帰が可能です。しかし、育児の状況や体調を考え、すぐにフルタイム勤務をするのが難しい方も多いでしょう。そんなときは時短勤務制度や、在宅勤務など柔軟な働き方を検討してみてください。
また、育児休業給付金への切り替えも重要なポイントです。産休手当の支給が終わった後、育児休業に入る場合はハローワークへの申請が必要です。育児休業給付金は、産後休業終了後から最長2歳まで支給される可能性があります。
まとめ
産休手当は、妊娠や出産という人生の大きな節目を安心して迎えるための大切な制度です。計算方法や手続きは少し複雑に感じるかもしれませんが、ポイントを押さえておけばスムーズに申請・受給ができます。不明点があれば、まずは勤務先の人事担当者や健康保険組合に相談することをおすすめします。
新しい家族を迎えるための準備と同じくらい、自分自身の体と生活を守る準備も大切です。経済的な不安を減らし、安心して出産に臨むために、産休手当の仕組みをしっかり理解しておきましょう。
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