男性の育休はいつから?取得タイミングとコツを解説
少し前まで、「育児休業」といえば女性が取得するものと思われがちでした。しかし今では、男性の育休取得は家族にとっても、そして社会にとっても大きな意味を持つようになっています。法律の改正や社会の変化により、男性が育児に関わる機会は確実に増えていますが、それでも「育休を取りたいけれど、いつ取るのがいいのか」「職場に迷惑をかけないか」など、不安や迷いを抱える方は多いでしょう。この記事では、男性の育休制度の概要から、取得のタイミング、手続きの流れ、そしてスムーズに取得するためのコツまで詳しく解説します。これから育休を検討している方や、将来に備えたい方に役立つ内容をお届けします。
>育児に関する悩みを相談できるカウンセラーはこちら男性の育休とは?制度の基本を理解しよう

男性が育休を取得できるのは、育児・介護休業法に基づく権利です。育休は、子どもが1歳になるまで取得することが可能で、一定の要件を満たせば最長2歳まで延長できる場合もあります。2022年の法改正では、特に男性の育休取得を後押しする制度が整備されました。
最も大きな改正は「産後パパ育休」(出生時育児休業)の創設です。これは、子どもの出生後8週間以内に最大4週間の休業を取得できる制度です。従来の育児休業とは別枠で取得できるため、男性が出産直後から育児に関わる大きな後押しとなっています。
また、育休は2回まで分割して取得できるようになりました。従来は一度しか取得できなかったため、復帰後にもう一度休みに入ることが難しかったのですが、分割が可能になったことで、家族の状況に合わせて柔軟に育休を取れるようになっています。
育休中は無給になるケースが多いですが、雇用保険に加入している場合は、一定の条件を満たすと「育児休業給付金」を受け取れます。最初の180日間は休業開始前の賃金の67%、それ以降は50%が支給されるため、収入がゼロになるわけではありません。さらに、社会保険料の免除制度もあり、金銭面での負担軽減が図られています。
男性が育休を取る社会的意義とは
男性が育休を取得する意義は、単に家庭内の育児を分担するという範囲を超えています。育休を取ることで、家族の絆が深まり、父親としての自覚も芽生えやすくなると言われています。子どもの成長を間近で見守り、一緒に育児を経験することで得られる充実感は何ものにも代えがたいものです。
また、社会的にも男性の育休取得は重要な意味を持ちます。女性だけが育児を担うという固定観念が薄れ、男女ともに仕事と家庭を両立できる社会を作るための大きな一歩だからです。男性の育休取得は、女性の職場復帰を後押しするだけでなく、家庭内での役割分担の見直しを促すきっかけにもなります。
企業にとっても、男性社員の育休取得は無視できないテーマです。従業員のワークライフバランスを整え、離職防止や企業イメージの向上にもつながるからです。特に2022年以降は、従業員が1,000人以上いる企業に対して、育休取得状況の公表が義務付けられており、社会的責任が一層強まっています。
男性が育休を取るメリット
男性が育休を取ることで、得られるメリットはたくさんあります。まず何より、家族との時間をじっくり持てることです。特に子どもが生まれてすぐの時期は、夜泣きや授乳で母親の負担が大きく、父親が一緒に育児を担うことで母親の心身の負担が大幅に軽減されます。
育休を取得することで、父親自身も育児スキルを身につけられます。授乳やおむつ替え、寝かしつけなど、一つひとつの育児スキルを習得することで、家庭内での役割分担がスムーズになり、育休後も育児に積極的に参加しやすくなります。
さらに、育児を経験することで、時間管理能力や効率的な業務遂行力、コミュニケーション力など、ビジネススキルにも良い影響が出るという声も多いです。育休は「キャリアのブランク」ではなく、「新たな成長の機会」と捉える企業も増えてきています。
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男性が育休を取るタイミングはいつが良いのか
「育休を取りたい」と思っても、実際には「いつ取ればいいのか」という悩みを抱える男性が少なくありません。ここでは、育休を取るうえで考えたいいくつかのタイミングについて詳しく説明します。
出産直後
出産直後に育休を取るメリットは、母親の身体的負担を軽減できることです。産後は心身ともに不安定になりやすく、夜間の授乳や体調不良などが続くことも少なくありません。この時期に夫がそばにいることで、母親が安心して回復に専念できます。また、赤ちゃんの成長の最初の一歩を共に体験できる貴重な時間でもあります。
「産後パパ育休」が創設されたのも、この時期の父親のサポートがいかに重要かを示している証拠です。最大4週間の休業を取得できるため、出産後の慌ただしい時期に家庭を支える大きな力となるでしょう。
妻の体調や心のサポートが必要なとき
出産直後だけでなく、育児の中で妻の体調がすぐれないときや、育児の負担が精神的に大きいときも、育休取得を検討する大切なタイミングです。特に産後うつは、出産後の母親にとって深刻な問題となることがあります。夫がそばにいるだけでも心強い支えになりますし、家事や育児を分担することで妻の負担を軽減できます。
子どもの生活リズムが整う前の時期
赤ちゃんの生活リズムが安定するまでは、授乳や睡眠が不規則で、親の負担も大きくなりがちです。この時期に育休を取得することで、赤ちゃんの世話を夫婦で分担し、家族全体の生活リズムを整えやすくなります。父親も育児の基本をしっかり学べるため、育休後も積極的に育児に関われる土台を作れます。
職場の繁忙期を避ける
育休取得にあたり、職場への影響を考えることも大切です。業務の繁忙期を避けることで、周囲の負担を減らし、職場との関係を良好に保てます。職場の状況を見ながら上司と相談し、代替要員の手配や引き継ぎを計画的に行うことがポイントです。
男性が育休を取るための手続き
育休を取得するためには、いくつかのステップが必要です。法律では、原則として育休開始予定日の1か月前までに会社へ申し出ることが求められています。ただし、会社によっては規定が異なる場合があるため、まずは就業規則を確認しましょう。
手続きの流れは大きく分けて以下の通りです。
まず、育休を取りたいという意思を上司に伝えます。この時期にしっかり相談し、職場の理解を得ておくことが大切です。次に、人事部門から育休申請書を入手し、必要事項を記入します。あわせて、子どもの出生予定日や出産証明書の提出を求められることがあります。
また、育休中に育児休業給付金を受給する場合は、会社を通じてハローワークへ手続きを行うことが必要です。書類に不備があると手続きが遅れることがあるため、期限や提出物の内容をしっかり確認しましょう。
育休をスムーズに取得するコツ
男性が育休を取得する際には、いくつかの「コツ」を押さえると安心です。
まずは、早めの準備が重要です。育休を考え始めたら、上司や人事に相談し、自分の業務の引き継ぎを計画しましょう。引き継ぎ内容はマニュアル化し、担当者に丁寧に説明することで職場の負担を減らせます。
また、家族との話し合いも欠かせません。育休中の役割分担をあらかじめ決めておくことで、育児も家事もスムーズに進められます。赤ちゃんの生活リズムや妻の体調を考慮しながら、一日のスケジュールを立てておくと安心です。
そして、育休中の生活費についても準備をしておくことが大切です。育児休業給付金は支給されますが、満額の給与と比べると減額になります。育休中の収支を試算し、無理のない範囲で家計を組み立てておきましょう。
まとめ
男性が育休を取得することは、家族の絆を強めるだけでなく、職場や社会に新たな価値をもたらします。法律の整備も進み、男性が育休を取りやすい環境が少しずつ整いつつあります。しかし、いざ取得するとなると不安も多いものです。
大切なのは、正しい知識を持ち、職場や家族と丁寧にコミュニケーションを取りながら準備を進めることです。育休は「休む期間」ではなく、家族のため、そして自分自身の成長のための貴重な時間です。ぜひ勇気をもって一歩を踏み出し、かけがえのない育児の時間を過ごしてください。
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